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改めて 武術と武道

  • 5月23日
  • 読了時間: 3分

ここで改めて武術と武道の違い、またはこれらの関係性について記述したいと思う。繰り返すがこれはあくまで私が自分の武道を実践していく上での独自の考えである。

道のコンセプトによって日々何かを追求している人を求道者(きゅうどうしゃ)という。これまで武道とはその深い部分においての理解は未だ共有されていない身体活動であるということを述べてきたが、そもそも武道とは武の求道者一人一人がそれぞれの人生の中で培った価値観の中で見出した高みを目指すものだとするならば、それは共有することを前提としていないのかもしれない。

それは昔から今、今から未来へと既に完成されたものが継承されていくというよりは、今もそしてこれからもそこに携わる人たちの考え、哲学、趣向によって変化し続けていく状態にあるといえる。

日本には諸行無常という仏教の言葉がある。世の中のすべてのものは絶えず変化し、永久不変なものはないという意味である。武道という身体活動も、それぞれの時代に於いて武道家達の注ぐ情熱が様々な形でぶつかり合いながら、その規模や社会的な意義、または実践者それぞれの人生における意味などが絶えず変化していかなければならない。そして今、この時代を生きる私達もまた肉体的、精神的な強さ、知性、創造力、愛情、包容力等様々なエネルギーをぶつけ合い、離合集散させながら新たな変化を作り出していく。

諸行無常のなかで武の稽古を継続していくという認識が道という概念と重なっていく。つまり、今を生きる私達が、武道を実践する上で完成するということは決してない。武道とはそういった認識のもと、未来についてまたは自分が実践するものについて考えながら進むべきであり、それは伝統に対する盲目的な忠誠ではない。

一方、武術の伝統といえば多くの流派に百年単位の由緒ある継承の重みがある。だから自分が傾注し守り受け継いできたそのような流派や家元の伝統を絶やさぬよう忠実に継承していこうとする姿勢には当然敬意を払うべきだと思う。私は「武術」と「武道」の違いについてここに線を引いている。つまり、代々受け継がれてきた技に対して忠実性の高い継承に重きを置くのが武術であり、そういった伝統から汲み取ったものを元にして未来に引き継いでいく価値のあるコンテンツ、そして自分自身をより高め成熟させていくことのできるコンテンツを創意工夫し作り出していくのが武道ということである。それは現代社会の情勢に応じて有益性のあるものとして活用しようとする視点を常に持っていなければならない。

この関係性は現代音楽とクラシック音楽のようなものだ。幾つかの現存するジャンルの音楽の源流は、クラシック音楽にある。そして、そのクラシック音楽自体も今に引き継がれている。クラシック音楽に源流を持つ現代音楽の音楽家達は自分の創作にさらなる深みや幅を持たせようとするとき結局はクラシック音楽に行き着くことになる。私は武術と武道の関係性を独自に理解する上で、このような音楽の世界の関係性を一つのイメージとして持っている。

武道家は常に武術の思想や身体操作に触れ、勉強していくべきである。しかしその目的は、継承ではなく創造である。


 
 

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